写真判定になるような際どい勝負になった時って 、意外とその瞬間の感覚、第一印象が当たってるものですよね。間違うことってそうはないのですが、それでも時には外れることもあります。語り草となったグラスワンダーとスペシャルウィークの有馬記念はいい例かもしれません。叩き合いの末のゴールの瞬間、勢いは完全にスペシャルウィークでした。グラスワンダーを本命にしていたので『負けたかも』と思いましたし、ゴール後に武豊が拳を握るのを見た時には『負けた』の落胆に変わってました。ところが写真判定の結果はグラスワンダーの勝利だったわけで。あの時の喧騒というかざわめきというかは忘れられないですね。
2013年、レッドリヴェールとハープスター、さらにはフォーエバーモアも加えた大接戦も、見間違えてしまったレースのひとつです。ハープスター本命で、勝ったと思ったんだけどなぁ。この年って無敗のまま参戦してきた馬が多くて、全体レベルは高かったんですよね。でもその中にあっても、ハープスターのスケール感は別格だと思ってました。
レースは先に抜け出したホウライアキコをフォーエバーモアが捕らえて、そこにレッドリヴェールが外から襲いかかって、さらにその間隙をハープスターが突いて…。今回の記事を書くにあたって見返してみたのですが、今見ても見応え十分でした。
勝ったレッドリヴェールは、続く桜花賞でもそうでしたが、勝負根性がハンパなかった。これは讃えられるべきです。なんとなくハープスターの敵役的に取り扱われることが多い印象ですが、この一戦がきっかけで好きになった馬でした。ただ、この勝利が現役最後の勝利だったんですよね。ハープスターは桜花賞で雪辱を晴らす大外一気、札幌記念でのゴールドシップの撃破、凱旋門賞挑戦と、その後もインパクト大のレースを続けてくれました。ただ古馬となってからはコンディションとの戦いというか、思うような成績は残せませんでした。
それぞれキャリアの後半は望むべき姿ではなかったのかもしれません。でも、その才能は間違いなくトップレベルだったと思いますし、互いのピークが重なったからこその接戦、名勝負だったんだと思います。今年も見ていてわくわくするような好勝負を期待したいですね。